理美容鋏は研ぎ前後の違いを表現しづらいため紹介する機会が少ないです。
部分的に引っかかりがある、開閉の調子が気に入らないなどデリケートな問題が主体で、研ぐ量は少ないのですが調整に神経を使います。
カットシザーズ
先端から3cmの所に気になる引っかかりがあり、その先はザラザラした感触です。おそらく落下させてしまったもので、拡大して観察すると1ヶ所鋭いエグレがあり刃こぼれも有りました。
普通に研ぐだけではエグレを消すことができないので裏スキに手を入れてから研ぎました。
ネジをいっぱいに締めてもすぐに緩むのが気に入らないと言われており、分解したらプラスチックのパッキンが劣化してバラバラになっています。シリコンチューブの輪切りで直しました。
セニングシザーズ(梳き鋏)
梳き鋏は部分的に噛み合っているので使用しているうちに平らな方の刃がすり減ってギザギザの鋸歯のようになってしまいます。定期的な研ぎが必要な鋏です。
ひどいギザギザが写真でも確認できます。更に櫛刃の刃先が丸まっており殆ど使用不可能だったと思われます。
こちらもネジのパッキン(ワッシャー)が粉になって、ネジをいっぱいに締めてもガタが発生しており直しました。
美容師さんが仕事で使われている内の一丁です。
写真では分かりませんが先の方に引っ掛かる部分があり全体に切れ味が悪くなっています。超仕上砥石の一辺を丸くしたもので裏の刃先を滑らかにし、表は引っかかりがなくなるまでハマグリ状に研ぎます。
理美容鋏は見た目の美しさも大切なので超仕上砥石で光らせますが、髪の毛をつかむ要素も必要なので天然砥石の硬くて細かいもので刃先にごく細い糸引き刃を作るのが良いと考えています。
肉眼ではほとんど見えないのですがルーペで拡大すると違いを確認できます。
研ぎ前後の違いが写真ではうまく表現できないので仕上がり写真だけです。
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