和包丁は菜切りを除き片刃が特徴です。(関西以南には両刃の和包丁も存在します)
切る素材に応じて使い分けるため形と大きさ、刃角はそれぞれ違っており、正しく研ぐためには知識や経験も必要になります。
出刃包丁・木屋16.5cm
大出刃ですから刃元で大きめの魚の中骨を断ち切り、頭を梨割りし、先の方で3枚おろしなどをします。
刃元を鋭角にしてはいけませんし、中ほどから先端にかけてはある程度切れ味も確保しなくてはなりません。
刃こぼれしている刃元の鋭角部をハマグリ形状に変え、中ほどから繋がりよく先端まで通しました。
出刃包丁・重房18cm
切れ味優先と思われる、先端にかけて薄くしてある形状ですが、本出刃ですから刃元の鈍角部は不可欠です。
切れる出刃型の包丁なら相出刃など他にたくさんあるわけですから。
刃元をハマグリ形状にして小さくなるのを避け、先端部は切れ味良く仕上げました。
出刃包丁ほど刃角が重要な包丁は少ないでしょう。
使いみちに見合った角度より鋭角過ぎると急に刃こぼれしやすくなります。
きちんと研いであれば鈍角でも必要な切れ味は十分にあり、刃をこじらなければ刃こぼれも少ないものです。
鋭角に研いでも、刃こぼれすると非常に使いづらいのですぐに研ぎ直すしかありません。
柳刃包丁・重房 ダマスカス模様 尺(マチまで約33cm)
柳刃や薄刃など繊細な包丁は柄が細めのため、中子部分は1段細くなっている場合が多いようで、刃元から更に細くなる部分までをマチと呼ぶようです。
マチがある場合の刃長はマチを含みますので、実際の刃は1.5cm程度短くなります。
実用なのですが、鑑賞的意味合いも重要なので模様が美しく見える天然砥石を何種か試してから仕上げました。
こんな包丁を研ぐ機会はそれほどないので、形状を含めできる限りのことはしたいものです。
鎌型薄刃・正本22.5cm
先端部が角形は関東型、丸型は関西型ですが、特に根菜を美しく切るために使われるようですから、好みで選んで構わないと思います。
研ぎは非常に難しく、鎬(しのぎ)を直線に通して刃先も水平にするのはプロの料理人でも困難ではないかと思ってしまいます。
前回の研ぎでは刃先を小さな2段刃にしてありましたが、使い方を考えると間違いであることは分かるはずです。
あくまで切れ味優先。表、裏とも刃先は完全に平らでこそ、この包丁の出番があるはずです。
どうしても刃先が水平にならない時は、気付かない程度のハマグリ刃を作ることで修正すべきです。
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