簡易研ぎ器で不満な方の三徳包丁と東京型刺身包丁(蛸引き)を研ぎ直しました。
三徳包丁・木屋ダマスカス模様 先端部
本格手研ぎを強調している研ぎ屋にとって簡易研ぎ器は言わば天敵でもあるわけです。
しかし否定するつもりはありません。
特性を知り効率よく使用することで研ぎに出す頻度を押さえるのが良いでしょう。
上が簡易研ぎ器を使い続けたため研ぎ器の角度と同じになってしまい、これ以上研げない状態。
下が洋包丁に最適な刃角に研ぎ直した状態で、ここから切れなくなったときに簡易研ぎ器で軽く撫でればかなり復活します。
牛刀や三徳包丁など両刃包丁の刃先をイメージする絵を書いてみました。
購入時(刃先は仮の刃付け「小刃」が付けられています)
研ぎおろし時(小刃が無い、より鋭角な切刃になります)
これらの刃先に対して簡易研ぎ器の削る角度が赤の線です。
ほんの刃先だけに、かなり鈍角な2段刃を作るものですから摩耗が進んだ刃では抵抗が大きく思うようには切れません。
鋭角に研がれた刃が少し切れなくなったときに使うなら、刃先が鈍角でも抵抗が小さいためある程度切れ味が良くなります。
刺身包丁・菊彦21cm
一度も使用していない新品に簡易研ぎ器を使用したらボロボロになってしまったとのことです。
和包丁の鋼は相当硬い状態に焼入れ、焼戻しをしてあるため強い力が加わると割れます。
まして刺身包丁は刃角が小さく作られているため、小骨を切っただけでも欠けるもの。
和包丁の鋼特性とタングステンなどでできている簡易研ぎ器との相性は最悪なので、使うべきではないと考えます。裏が平らで真っ直ぐ切り進むという片刃の特長も失われてしまいます。
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